石見銀山ロマンカフェ[27/100]

「今まで旅行に行った中でどこが一番印象に残ってる?」

そう聞かれて、その時わたしは「熊野です」と答えたけれど。

きっと今ならば、「宅野の町です」と、そう答えるだろう。

*

一昨年の誕生日。
いろんなタイミングが重なって、鳥取と島根に一人旅をしてきました。

もう2年近くも前のことなので記憶があいまいな部分が多々ありますが。
今回はその時のことを書いていこうと思います。

この話をすると、必ず「なんで島根!?」と言われるのですが。
色々と理由はあったけれど、それ以上に何か呼ばれるものがあったのだと思います。
他ではないくらい、得る物があった旅でした。

その中でも一番印象に残っているのが、この石見銀山ロマンカフェです。


なんとも無計画なことに、旅行前日まで宿泊先を決めていなかったわたしでしたが。ネットの海をさまよううちに何故かこの、古民家を改築したカフェの存在を知りました。

「古民家を改築したカフェってなんだかおしゃれだぞ」
「どうやら民泊もやっているらしい」
「夜はバーを独り占め?」
「んんっ!?これはなんだか面白そう!」

そう思ったわたしは意を決してホームページに書かれた連絡先に電話してみました。いきなり「明日泊めてください」っていうんだから無理かもなあ、なんて思っていたのですが、思った以上にあっさりと泊まってもいいよと言っていただき、宿泊先をここに決めたのでした。

*

最寄り駅は仁摩駅。
たどり着いたころにはもうあたりはうす暗くなっていました。
なんともありがたいことに、宿の方が車で迎えに来ていただきました。
(地図で見て、歩けるかなあと思って予約したんですけど、いざ行ってみると暗すぎてとても歩けそうな場所じゃなかったので、ほんとに助かりました)

そうしてたどり着いた石見銀山ロマンカフェ。

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150年の歴史のある古民家の土間に、木の机と椅子が並んでいます。
机と椅子はかつて高校で使われていたものだとか。

古民家カフェっていうと、昔ながらの空間に今時のお洒落な家具が並んでいて…という雰囲気を想像していたのですが、なんだかここは少し違いました。
ありのままがそこにある感じ。

夜ご飯には、裏の庭で取れたという野菜と、近くの海でとれたという魚のから揚げをいただきました。
ほうれん草の味がすごく濃くておいしかったのを覚えています。
あと、魚もすごくおいしかった!
それと、自家製の干し柿もいただきました。これもまたおいしい。


それから、お風呂はどうする、という話になり。
近くの温泉津(と書いて“ゆのつ”と読む)まで連れてっていただくことに。

どうせなら、ということで一番歴史の古い元湯というお風呂に行くことになりました。
その歴史。なんと1300年!

これが、なんともすごかった…!
もう、とにかくお湯が熱くて、熱くて、全然まともに入れなかったという。
そして、飲むと体にいいとかなんとかいうので飲んでみたんですけど、これがまたすごく美味しくない!
塩気があって錆びてる感じだったと思うのですが、まあ、進んで飲みたい味ではありませんでした(すいません。)

そして、洗い場で体を洗うとかいう雰囲気もあまり感じられず。
ただひたすら入れないほど熱いお湯につかろうとチャレンジするばかりでした。
(ぬるいお湯というのもあるんですけど、確かそっちはすごくぬるかった気がします)
疲れは取れなかったかもしれないけど。
すごくいい経験が出来ました。伊豆や熱海の温泉では出来ない経験。


余談ですが。
温泉からの帰り道。
みんな体温が上がっているので、ひたすら軽自動車のガラスが曇り。
運転手が手でガラスをこすりながら運転するという、とても危険な帰り道となったのでした(笑)

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カフェに戻ってきてからは、宿の方とお話をしながらビールをいただきました。
つまみは、薪ストーブであぶった銀杏とピーナッツ。
銀杏が、ものすっごく綺麗な翡翠色だったりして。
なんて贅沢!
あと、さつまいももいただいたりして、すごくおいしかったです。

なんだかこの時に話していてとても印象に残っていることは、
わたしは自分のことすら上手く説明できないんだなあということで。
何やってるの?何でそんなことやってるの?
と聞かれると、どうにも自分ですら釈然としない返事しかできなくて。

増してや、この時のわたしは学生として、あの学科に、あの研究室に所属していることに後ろめたさしか感じていなかったから余計にだったと思います。

このロマンカフェを経営しているNさんは、本当に自分の手で古民家に手を入れて、自分の手で稼いで、町を作って、おそらく自分の人生だけでなく、同じ町に住む人々の暮らしまでをも面白くしていこうとしている人で。
きっと目的もなくふらふらといろんなものを見て、それを自慢げに話す自分がさぞやちっぽけに見えただろうなあと思います。

けどね。
この時そう思ったけど、やっぱり強い芯をを持って生きるっていうのはすごく難しいよね。
1年半経って、自分の何かが変わっただろうかと問うてみると何も変わっていないや。と今思うのでした。


寝るときは、奥の部屋に引いた布団に電気毛布で眠りました。
何気に電気毛布、初体験。


朝ご飯も手作りのご飯を出していただいて。
この時のチャパティにつけたハーブバターのおいしさが本当に神がかっていました!
口に入れた瞬間、香りがふわっと口の中に広がるんですよね。あの“ふわっ”っていう感覚は初めての感覚。
あとは、地元の山で取れたという柚子のジャムなどもいただきました。


そして、この日は石見銀山観光を予定していたので、ご厚意で銀山の方まで車で送っていただきました。
しかも、その途中では、銀山に関する謂れのある土地等も寄って説明していただき、本当に自分だけでは出来ない体験が出来たと感謝しています。

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そしてこの写真の景色が、ロマンカフェのある宅野の町の景色。

小さな町だけれど、この町は本当にすごい古い歴史があって。
江戸時代の建物なんかが平気で残っているんです。
横浜生まれ、横浜育ちのわたしにはかなりの衝撃でした。
なんせ、横浜の歴史といったらほとんど明治からで、それ以前の歴史はほとんどないんですよね。

同じ日本なのに、なんだかものすごいカルチャーショックを受けました。


製鉄の伝承や、海辺を「かいへん」と呼んだりする等の独自の文化。
神話の時代から続く歴史。
都会とは違う価値観を持つだろう暮らし。

どれもがわたしにとって新鮮で、驚きでした。



銀山までついて、宿のNさんとはお別れしたのですが、今でも度々ロマンカフェのブログを覗かせていただいています。
その度にいつも考えさせられることがあって。


ああわたしは、普段どれだけ狭い視野の中で生きているんだろうなあ。




この旅での、
このロマンカフェとの出会いは、
わたしにとって価値観を揺るがすほどの大きな出会いとなったのでした。

島根を訪れることがないとしても、ぜひカフェロマンのホームページをいろんな人に見てみてほしいなあと思います。



参考
http://www.caferoman.com/
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# by 100scenes | 2009-08-10 23:39 | 中国地方

鶴見線扇町の猫[26/100]

お久しぶりです。こんばんは。
100景更新しないんですか?って後輩に言われたので、更新してみようと思います。

更新ペースが1年に1回か2回だと100まで行くのにあと50年はかかる計算なので(笑)、
もうちょっと頑張って100を目指してみようかなあと。

わたしがこのブログを始めた頃と今ではきっと、
大好きな場所というのは大きく変わってきていると、
そう思うんです。

それもあって更新しづらかったという気持ちもあるんですが、
考え方が変わっても、
それでも好きだという気持ちがあるのならひとまとめにしちゃっていいのかなあと思ったので、
変わったわたしと変わらないわたしが混ざり合ったわたしが好きな場所を、今回は紹介したいと思います。


それが、鶴見線扇町の猫。


鶴見線の駅を紹介するのは多分今回で3回目ですね。
今回は扇町を紹介します。


扇町駅は鶴見線本線の終着駅。
かなり昔にも1度か2度訪れたことはあったのですが、去年の秋ごろ、横浜トリエンナーレ応援企画ということで「駅2008 鶴見線に降りたアート達展」という展示がやっているということで久し振りに行ってみました。

この展示自体は正直それほど魅力を感じるものではなかったのですが、
こういった展示があることで久し振りに鶴見線に乗る機会ができたというのはすごく良かったです。
多分企画した人たちも鶴見線が大好きなんだろうな。

高校の時の友人と4人で行ったのですが、とある友人同士は「会ったのが数年ぶり」とかいう軽い同窓会状態で。
「鶴見線乗ろう!」で集まれる自分達って全然変わってないなあって思って、少し嬉しくなりました。


展示が行われていたのは鶴見駅、国道駅、浅野駅、海芝浦駅、扇町駅の5駅で、わたし達は国道駅→浅野駅→扇町駅→海芝浦駅→鶴見駅という順番でまわりました。

それで久し振りに行った扇町駅。
降り立ってみると、何やら駅舎の影に水槽が。
(水槽と言っても、正確に表現するのならものすごいでかい洗面器、みたいな感じです)

中には亀がいたんですけど、
そのまわりには、猫がたくさん…!!!

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結構ちっちゃい猫もいて、本当に可愛い。

その中でも群を抜いていたのが、



植 木 鉢 猫 ! ! !



このすっぽりとしたはまり具合!
あまりにも可愛すぎる…!!!!!


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思わず写真を撮りまくり、親にメールしてしまいました。
わたし、親にメールすることなんてめったにないのに。


次に行った時にこの植木鉢猫に会える確率がどれくらいなのかは分かりませんが。
期待をかけて行ってみる価値はあるだけの可愛さです!


あ、ちなみに。
扇町駅周辺は、鶴見線の中でもかなりよく工場が見れる地域だと思うので、工場を見たいと思う方にもおススメです。

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扇町駅から昭和駅に歩いて行くとこんなプラント系の施設も見れたり。そういう意味では散歩道としてもおススメです。



つまるところ、
きっと昔のわたしは、「景色」に出会うために
(言ってみれば写真を撮るために)
出かけていたのだと思うんですが、
最近はそうでもないみたいです。

鶴見線と言う原点と、
もう二度と出会えるか分からない猫との出会いという、
2つが混ざり合った「鶴見線扇町の猫」をお送りしました。




鶴見線扇町駅(地図
JR鶴見線本線終点
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# by 100scenes | 2009-06-02 23:27 | 横浜

シーバス[25/100]

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相変わらず驚くほど久しぶりの投稿ですが。
期待を裏切って行こうかな、という気持ちで今回はシーバスを取り上げてみます。


シーバスというのは、横浜駅東口と山下公園を結ぶ観光用の水上バスのこと。

そごうから歩いてすぐのベイクオーターの建物の中に発券所があります。
ベイクオーターが出来たということでかなりアクセスしやすくなりました。



以前からポートサイド公園に行った際には、よくシーバスに乗る人に手を振って遊んでいたのですが、実際に乗ったのは昨年が初めてでした。

赤レンガ倉庫まで580円。
以前はこれを高いと感じて全く乗ろうという気が起こらなかったのですが、わたしも大人になったということでしょうか。
580円??安いじゃん!余裕!!
そういうテンションで乗って来ました。


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観光用の遊覧船ということでそれほど期待はしていなかったのですが。
これがまた、乗ってみると想像以上に楽しいのです。

いつも見ている景色も、海上から見るとちょっと違った様子で。
シーバスの航路には思い出深いところも多いから、「あ、あそこで昔●●したよね!」なんて思い出に浸ったりもして。

何よりも思ったよりも海面が近いと言うのがすごく不思議な感覚でした。


横浜駅から歩いてすぐのところから乗れるのに、ちょっとした旅行気分。
降りた先で観光を楽しめるというのもまた良いところ。
電車で行くよりも遥かに便利な場所に降ろしてくれます。


広いところに行きたい。日常から解放されたい。
そんな気分の時、気軽に海に出てみるのはいかがですか?


潮風に吹かれながら、いつもとはちょっと趣の変わった横浜の景色を眺めてみるのも良いかと思います。



参考:横浜クルージング
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# by 100scenes | 2008-06-25 01:12 | 横浜

英連邦戦没者墓地[24/100]

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第二次大戦中に、捕虜として日本に連れてこられ、日本にてその人生を終えた英連邦諸国の人々の墓地。
それがこの英連邦戦没者墓地です。

横浜市保土ヶ谷区の南端の丘の上で静かにひっそりと存在しています。


入り口の門からして、とてもヨーロッパらしい雰囲気が漂ってて、さらに中に入ると、ここが日本であることを忘れてしまうような、そんな場所です。
綺麗に整えられた芝生の上に並ぶたくさんのプレート。
日本のお墓とは当然雰囲気が違いますが、その、同じものが綺麗に整然と並ぶ様子は、山手の外人墓地とも全然違う雰囲気です。

整えられた芝生はもちろんですが、墓地内全域に植えられている木々がとても綺麗で。
何種類かの木が整然と並んでいるのではなく、色んな種類の木がバラバラに、だけどきちんと綺麗に見えるように植えられているんですね。
特に紅葉のシーズンは素敵です。
大きな木が黄色く染まったり、赤く染まったり、そしてそれを包む様々な木々。
あぁ、木って、こんなに綺麗なんだな。と思わせてくれます。

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たくさん並ぶ墓碑には、1つ1つ名前が刻まれています。
そして、それぞれに、名前だけではなく、死んだときの年齢、家族からのメッセージが書かれていて。
それを見ると、当たり前のことではあるけれど、「この1つの墓碑には1人の人が眠っているのだな」ということを改めて実感します。

小学校や中学校の歴史の教科書の中の占領だとか捕虜だとかという言葉は、歴史の中のひとつの出来事として、さらりと流すように語られているけれど。
この英連邦墓地は、その、教科書でたった数行で書かれてしまうような出来事が、1人1人、名前を持った人間として存在していたという事実に気づかせてくれました。

自分と同じくらいの歳の人が、遠い日本に連れてこられて死んだという事実、その事実と向かい合った家族という事実。
そして、今、こうやって綺麗に整えられた静かな庭園の中で穏やかに眠っているという事実。


ただ綺麗である、というだけではなく、歴史と言うものを肌で感じさせてくれる、とても貴重な場所だと思います。



英連邦戦没者墓地(地図
JR保土ヶ谷駅からバス 「児童遊園地入り口」下車
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# by 100scenes | 2007-12-03 14:38 | 横浜

和泉川[23/100]

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今回紹介するのは、横浜市の西部を縦に流れる2級河川、和泉川。
駅で言うと、相鉄線の三ツ境駅やいずみ中央駅の近くを流れる川です。

横浜で生まれ育ったわたしにとって、身近な川というのは、コンクリートに覆われた、ただ水を流すための装置でした。
ともすると、ゴミを捨てる汚いところ、入ってはいけないところ、というイメージすらあったほど。
(自宅から歩いてすぐのとこにある細い川は、いつも暗くて、自転車や、自動車の部品などの産業廃棄物が捨ててあるという川だったので)

もちろん、丹沢の渓流を見たこともあったし、相模川の下流の幅広い流れを見たことはありましたが。
それは同じ川とは言っても、身近ではない、別次元の話。
ともかく、生活に密着している川というのは、とても“遊ぶ”というイメージではなかったのです。

しかし、同じ横浜市にも、気軽に遊びに行ける身近な川というのがあるんですね。
その1つが、和泉川なのです。

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実は、和泉川というのは、その上流(瀬谷区)がふるさとの川整備事業のモデル地区に選ばれ、大規模な環境整備事業が行われて、そのデザインや周辺の活動が賞を取ったりもしている、実はちょっと有名な川だったりします。

そのモデル地区として整備された場所に、実際に行ってみると、きっと「ここって本当に横浜?」って思うはず。
川もその周りも緑に溢れて、周りの家も、なんだか川に沿うように、自然と馴染んでいるのです。
川沿いを歩く人も多くて、大体いつでも虫や川の中の生き物をとって遊ぶ子供の姿を見ることができます。

もし、自分が小さなときも、こんな川が近くにあったら、ちょっとは違った価値観を持っていたのかもしれないな。と、羨ましくなってしまうくらい素敵なところ。

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ただ川やその周りに木を植えたというだけではなく、周りの自然と一体となった川空間は、本当に歩いていて気持ちのよいところです。
歩道がコンクリートで舗装されているのではなく、“土”っていうところがまた歩いていて心地よいんですね。
都会の中って、なかなか土の上を歩くこと、ないですよね?

ちょっと自然に触れたいなぁ、と思ったとき、気軽に歩いてみるのにおススメです。

また、和泉川と境川の合流する地点には、大規模なビオトープも作られている途中で。(県立境川遊水地公園)
なんだかわたしはそのあまりの広大さに驚いてしまったのですが…
これからどのようになっていくのか楽しみです。



和泉川(地図
相鉄線三ツ境駅・いずみ野駅・いずみ中央駅から徒歩
(三ツ境駅で降りて、川沿いを下って歩くのがおススメです。宮沢遊水地を過ぎるとバス通りに出るので、バスで近くの駅まで行くこともできるので。
いずみ中央駅前には地蔵原の水辺あり。
県立境川遊水地公園には湘南台駅が近いです。)
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# by 100scenes | 2007-12-03 13:02 | 横浜