「今まで旅行に行った中でどこが一番印象に残ってる?」
そう聞かれて、その時わたしは「熊野です」と答えたけれど。
きっと今ならば、「宅野の町です」と、そう答えるだろう。
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一昨年の誕生日。
いろんなタイミングが重なって、鳥取と島根に一人旅をしてきました。
もう2年近くも前のことなので記憶があいまいな部分が多々ありますが。
今回はその時のことを書いていこうと思います。
この話をすると、必ず「なんで島根!?」と言われるのですが。
色々と理由はあったけれど、それ以上に何か呼ばれるものがあったのだと思います。
他ではないくらい、得る物があった旅でした。
その中でも一番印象に残っているのが、この石見銀山ロマンカフェです。
なんとも無計画なことに、旅行前日まで宿泊先を決めていなかったわたしでしたが。ネットの海をさまよううちに何故かこの、古民家を改築したカフェの存在を知りました。
「古民家を改築したカフェってなんだかおしゃれだぞ」
「どうやら民泊もやっているらしい」
「夜はバーを独り占め?」
「んんっ!?これはなんだか面白そう!」
そう思ったわたしは意を決してホームページに書かれた連絡先に電話してみました。いきなり「明日泊めてください」っていうんだから無理かもなあ、なんて思っていたのですが、思った以上にあっさりと泊まってもいいよと言っていただき、宿泊先をここに決めたのでした。
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最寄り駅は仁摩駅。
たどり着いたころにはもうあたりはうす暗くなっていました。
なんともありがたいことに、宿の方が車で迎えに来ていただきました。
(地図で見て、歩けるかなあと思って予約したんですけど、いざ行ってみると暗すぎてとても歩けそうな場所じゃなかったので、ほんとに助かりました)
そうしてたどり着いた石見銀山ロマンカフェ。

150年の歴史のある古民家の土間に、木の机と椅子が並んでいます。
机と椅子はかつて高校で使われていたものだとか。
古民家カフェっていうと、昔ながらの空間に今時のお洒落な家具が並んでいて…という雰囲気を想像していたのですが、なんだかここは少し違いました。
ありのままがそこにある感じ。
夜ご飯には、裏の庭で取れたという野菜と、近くの海でとれたという魚のから揚げをいただきました。
ほうれん草の味がすごく濃くておいしかったのを覚えています。
あと、魚もすごくおいしかった!
それと、自家製の干し柿もいただきました。これもまたおいしい。
それから、お風呂はどうする、という話になり。
近くの温泉津(と書いて“ゆのつ”と読む)まで連れてっていただくことに。
どうせなら、ということで一番歴史の古い元湯というお風呂に行くことになりました。
その歴史。なんと1300年!
これが、なんともすごかった…!
もう、とにかくお湯が熱くて、熱くて、全然まともに入れなかったという。
そして、飲むと体にいいとかなんとかいうので飲んでみたんですけど、これがまたすごく美味しくない!
塩気があって錆びてる感じだったと思うのですが、まあ、進んで飲みたい味ではありませんでした(すいません。)
そして、洗い場で体を洗うとかいう雰囲気もあまり感じられず。
ただひたすら入れないほど熱いお湯につかろうとチャレンジするばかりでした。
(ぬるいお湯というのもあるんですけど、確かそっちはすごくぬるかった気がします)
疲れは取れなかったかもしれないけど。
すごくいい経験が出来ました。伊豆や熱海の温泉では出来ない経験。
余談ですが。
温泉からの帰り道。
みんな体温が上がっているので、ひたすら軽自動車のガラスが曇り。
運転手が手でガラスをこすりながら運転するという、とても危険な帰り道となったのでした(笑)

カフェに戻ってきてからは、宿の方とお話をしながらビールをいただきました。
つまみは、薪ストーブであぶった銀杏とピーナッツ。
銀杏が、ものすっごく綺麗な翡翠色だったりして。
なんて贅沢!
あと、さつまいももいただいたりして、すごくおいしかったです。
なんだかこの時に話していてとても印象に残っていることは、
わたしは自分のことすら上手く説明できないんだなあということで。
何やってるの?何でそんなことやってるの?
と聞かれると、どうにも自分ですら釈然としない返事しかできなくて。
増してや、この時のわたしは学生として、あの学科に、あの研究室に所属していることに後ろめたさしか感じていなかったから余計にだったと思います。
このロマンカフェを経営しているNさんは、本当に自分の手で古民家に手を入れて、自分の手で稼いで、町を作って、おそらく自分の人生だけでなく、同じ町に住む人々の暮らしまでをも面白くしていこうとしている人で。
きっと目的もなくふらふらといろんなものを見て、それを自慢げに話す自分がさぞやちっぽけに見えただろうなあと思います。
けどね。
この時そう思ったけど、やっぱり強い芯をを持って生きるっていうのはすごく難しいよね。
1年半経って、自分の何かが変わっただろうかと問うてみると何も変わっていないや。と今思うのでした。
寝るときは、奥の部屋に引いた布団に電気毛布で眠りました。
何気に電気毛布、初体験。
朝ご飯も手作りのご飯を出していただいて。
この時のチャパティにつけたハーブバターのおいしさが本当に神がかっていました!
口に入れた瞬間、香りがふわっと口の中に広がるんですよね。あの“ふわっ”っていう感覚は初めての感覚。
あとは、地元の山で取れたという柚子のジャムなどもいただきました。
そして、この日は石見銀山観光を予定していたので、ご厚意で銀山の方まで車で送っていただきました。
しかも、その途中では、銀山に関する謂れのある土地等も寄って説明していただき、本当に自分だけでは出来ない体験が出来たと感謝しています。

そしてこの写真の景色が、ロマンカフェのある宅野の町の景色。
小さな町だけれど、この町は本当にすごい古い歴史があって。
江戸時代の建物なんかが平気で残っているんです。
横浜生まれ、横浜育ちのわたしにはかなりの衝撃でした。
なんせ、横浜の歴史といったらほとんど明治からで、それ以前の歴史はほとんどないんですよね。
同じ日本なのに、なんだかものすごいカルチャーショックを受けました。
製鉄の伝承や、海辺を「かいへん」と呼んだりする等の独自の文化。
神話の時代から続く歴史。
都会とは違う価値観を持つだろう暮らし。
どれもがわたしにとって新鮮で、驚きでした。
銀山までついて、宿のNさんとはお別れしたのですが、今でも度々ロマンカフェのブログを覗かせていただいています。
その度にいつも考えさせられることがあって。
ああわたしは、普段どれだけ狭い視野の中で生きているんだろうなあ。
この旅での、
このロマンカフェとの出会いは、
わたしにとって価値観を揺るがすほどの大きな出会いとなったのでした。
島根を訪れることがないとしても、ぜひカフェロマンのホームページをいろんな人に見てみてほしいなあと思います。
参考
http://www.caferoman.com/